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釣った魚の持ち帰り方ガイド

正しい処理で釣りたての鮮度をキープ。美味しく食べるための手順を解説します。

なぜ持ち帰り方が大切なのか:釣った魚の味は「釣り場での処理」で8割決まると言われています。どんなに高級な魚でも、処理が悪ければスーパーの魚以下。逆に正しく処理すれば、お店では味わえない最高の一皿になります。

締め方(脳締め・神経締め)

魚を素早く絶命させることで、身の劣化を防ぎ、旨味を最大限に保ちます。

脳締め

魚の脳を専用ピックで破壊し、即死させる方法。中型魚以上(20cm以上)に推奨。

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    魚をタオルやグリップで固定

    暴れる魚をしっかり押さえます。鯛やカサゴなど、ヒレにトゲがある魚は特に注意。

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    目と目の間のやや後方をピックで刺す

    脳の位置は目の後ろ上方。成功すると魚がビクッと硬直し、その後脱力します。口が開けば成功のサインです。

神経締め

脳締めの後、脊髄にワイヤーを通して神経を破壊する上級テクニック。死後硬直を大幅に遅らせ、最高の鮮度を実現します。

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    脳締めで開けた穴から脊髄管を探す

    背骨の上に沿って走る脊髄管(直径1〜2mm程度の穴)を見つけます。

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    専用ワイヤーを尾まで通す

    ワイヤーを前後に動かして神経を破壊。成功すると体がビクビクと痙攣します。これにより死後硬直の開始が遅れ、鮮度が長持ちします。

魚のサイズ別の締め方ガイド

  • 小型魚(20cm以下:アジ・イワシなど)→ 氷締め(氷水に入れるだけ)
  • 中型魚(20〜40cm:マダイ・クロダイなど)→ 脳締め+血抜き
  • 大型魚(40cm以上:ブリ・ヒラマサなど)→ 脳締め+血抜き+神経締め
ヒント:神経締めは慣れが必要です。まずは脳締めと血抜きを確実にできるようになってから挑戦しましょう。この2つだけでも十分美味しく持ち帰れます。

血抜きの方法

魚の血液は時間とともに臭みの原因になります。脳締めの直後に血抜きを行いましょう。

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    エラの付け根を切る

    エラ蓋を開き、エラの付け根にある太い血管をナイフやハサミで切ります。両側切ると効率が良いですが、片側だけでもOK。

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    尾の付け根にも切り込みを入れる(大型魚の場合)

    40cm以上の大型魚は、尾の付け根にもナイフで切り込みを入れると血抜き効率がアップします。

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    海水バケツに頭から浸ける

    汲んだ海水のバケツに魚を入れ、5〜10分間血を出します。時々魚を動かすと血の排出が促進されます。

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    水気を拭いてクーラーボックスへ

    血抜きが済んだら、キッチンペーパーやタオルで水気を拭き取ります。

注意:ナイフの取り扱いに注意。フィッシュグリップで魚をしっかり固定し、刃は自分の体から離す方向に使いましょう。釣り場にはバンドエイドも持っていくと安心です。

クーラーボックスの使い方

適切な保冷が鮮度を守る最後の砦。クーラーボックスの正しい使い方を知りましょう。

サイズの選び方 — 堤防釣りなら15〜25L、ショアジギングなど大物狙いなら25〜35Lが目安。大きすぎると氷が多く必要になり、持ち運びも大変です。
保冷力のランク — 断熱材の種類で保冷力が変わります。発泡スチロール < 発泡ウレタン < 真空パネル の順に高性能。日帰り釣りなら発泡ウレタン以上がおすすめ。
魚を直接氷に触れさせない — 新聞紙で魚を包んでからビニール袋に入れます。直接氷に触れると「氷焼け」を起こし、身が白くなって食感が悪くなります。
開閉は最小限に — フタを開けるたびに内部温度が上昇。魚を入れたらできるだけ開けないようにしましょう。
ヒント:出発前にクーラーボックスを氷水で冷やしておく(予冷)と、保冷効果が格段にアップします。ペットボトルの水を凍らせたものを前日からクーラーに入れておくのがおすすめです。

氷の量と保冷時間

適切な氷の量を知っておくと、帰宅まで鮮度をキープできます。

氷の量の目安

  • クーラーボックスの容量の1/3〜1/2を氷で満たすのが基本
  • 15Lのクーラー:板氷1〜2枚+ペットボトル凍結1〜2本
  • 25Lのクーラー:板氷2〜3枚+ペットボトル凍結2〜3本

保冷時間の目安

  • 発泡スチロール:6〜8時間(夏場は4〜6時間)
  • 発泡ウレタン:12〜24時間(夏場は8〜12時間)
  • 真空パネル:24〜48時間(夏場は18〜24時間)
板氷がおすすめ — 砕いた氷より溶けにくく、保冷時間が長い。釣具店やコンビニで購入できます。
ペットボトル凍結を併用 — 2Lペットボトルに水を入れて凍らせたもの。溶けたら飲料水にもなり便利。
海水氷を作らない — 氷締めの海水は帰る際に捨て、真水の氷だけで保冷しましょう。長時間の海水浸けは身が水っぽくなります。
注意:夏場は氷の消耗が激しいため、予備の氷を車に積んでおくか、途中のコンビニで補充する計画を立てましょう。

自宅での下処理

帰宅後はできるだけ早く下処理をしましょう。内臓は傷みやすく、放置すると身に臭みが移ります。

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    ウロコを取る

    尾から頭に向かって、包丁の背やウロコ取りでウロコを丁寧に取り除きます。ウロコが飛び散るので、シンクの中や新聞紙の上で作業しましょう。

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    頭を落とし、内臓を取り除く

    胸ビレの後ろから包丁を入れて頭を落とし、腹を開いて内臓を取り出します。苦玉(胆のう)を潰さないよう注意。苦味が身に移ります。

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    血合いを洗い流す

    背骨に沿った血合い(暗い赤色の血の塊)を歯ブラシなどでこすり取り、流水で丁寧に洗います。この血合いが残ると臭みの原因に。

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    水気を拭き取って保存

    キッチンペーパーでしっかりと水気を拭き取り、新しいキッチンペーパーで包んでからラップで密封。チルド室(0〜2℃)で保存します。

保存期間の目安:
  • 刺身:当日〜翌日がベスト(鮮度の良い魚のみ)
  • 冷蔵保存(チルド室):処理後2〜3日
  • 冷凍保存:ラップ+ジップロックで空気を抜いて1ヶ月以内
ヒント:熟成(寝かせ)という方法もあります。キッチンペーパーで包んでチルド室で1〜3日寝かせると、ATPが旨味成分(イノシン酸)に変わり、味に深みが出ます。マダイやヒラメなどの白身魚に特におすすめです。
注意:すぐに処理できない場合は、内臓がついたままでもチルド室に入れましょう。常温での放置は厳禁。翌朝までには必ず処理してください。

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